柳川教授は、スキルアップには3つの意義があると説く(撮影:今井康一)
2012年に政府の國家戦略會議「フロンティア分科會」報告書で「40歳定年制」を提唱した東京大學大學院経済學研究科教授の柳川範之氏。多くの人が80歳近くまで元気で働ける時代だからこそ、キャリアプランもいったん40歳ぐらいで考え直したほうがいい、との提案だった。柳川氏に40歳定年制を提唱した意図を聞いた。

「40歳定年制」という言葉に対し、「40歳で全員定年にされてしまう」という誤ったイメージが広がってしまった。真意は、40歳で現在の會社や仕事をきっぱり辭めるということでなく、40歳前後をキャリアの節目となる年齢と考え、もう一度、自分の將來について考え直そうということだ。

高度経済成長期には、まじめに仕事をしていれば、誰でも定年までハッピーに働くことができた。學校教育であれ社內教育であれ、20代で身に付けた知識や能力で、社會人生活を全うできた。しかし現狀では、定年までハッピーに働ける人は少ない。AI(人工知能)やロボットの急激な進化で就労環境が大きく変化しているうえ、平均壽命の伸長で就労期間が延びているためだ。

スキルアップが必要な3つの理由

サラリーマンだけではなく、技術革新の速い職人の世界も同じ。今のスキルのまま生涯現役として活躍することは難しく、環境変化に対応するスキルアップが不可欠になっている。(80歳近くまで働くと仮定して、60年間の)キャリア人生を20年區切りの三毛作と考え、最初の區切りの40歳前後で、リカレントやリスキリングといった學び直しによるスキルアップを実現したい。

いわばカーレースのように、いったんピットでストップして、スキルの“燃料補給”を行うことが、その後の仕事レースを完走するうえで重要なのである。

スキルアップには、3つの意義がある。